2018年10月6日、83年の歴史に幕を下ろした築地市場。豊洲移転を前に市場を訪れた時の思い出を振り返ってみた。都営地下鉄大江戸線の築地市場駅から歩くと間もなく市場が見えてくる。早朝のせりはもうとっくに終わっているので市場内の活気はそれほど感じられないものの時折、築地名物のターレが走っていく姿があちらこちらに見られた。場内を少し回ってみたがとにかく広大過ぎて方角さえも見失いそうになったので途中で引き返すことにして今回の目的のあるお店に向かった。そこに到着したもののやはり事前情報の通りお昼にはまだかなり時間があるのにも関わらずものすごい人の行列が建物の角を曲がってもまだ続いていたが聞くと3時間待ちとのこと。「寿司大」がその店だ。後で知ったが朝5時の開店前から行列ができていて時間を問わず3~4時間待ちは普通だそうだ。仕方なく他店を探して歩いていると大きな暖簾に「吉野家」と書いてある店が見えてきた。店頭に掲げられた大きな木板を読んでみるとここが「吉野家」一号店であることが分かった。 1926(大正15)年から、築地の魚河岸で働く人々の為に店を構え1959(昭和34)年からこの場所で営業する「吉野家・築地一号店」がルーツらしい。しかし豊洲移転とともに閉店し最終日には多くのファンが詰めかけたらしいが何と豊洲の新天地で店頭の暖簾もそのままに営業を再開しているとのこと。
更に歩いていると「丸武」が見えてきた。ここは 戦前から続く老舗の高級玉子焼き専門店で演出家・テリー伊藤氏の実家としても知られているが意外と構えは狭く気づかず通り過ぎるところであった。 焼き立ての厚焼き玉子をその場で食べられるのも面白い。さてそろそろお昼が近づいてきたので、とある寿司店を見つけ少し並んで入店することができた。すぐ「おまかせコース」を注文。前述の通り比較的早く入店できたので正直味はあまり期待していなかったが実際出されたものを食するとその美味しさにびっくり。うまく文字では表現できないが良質なネタと シャリの口の中でのほぐれ具合いが絶妙なせいだろうか?この美味さはこれまで私の寿司に対する概念が見事に吹き飛んだ瞬間であった。さて築地市場そのものは豊洲へ移転して間もなく一年過ぎようとしているが現在でも「 場外市場 」は営業を継続しておりまだまだ魅力に溢れた場所として楽しめそうだ。