愛岐トンネル群・探訪記

「碓氷峠(群馬)、北陸線(滋賀、福井)のトンネル群とともに日本三大廃線トンネル群のひとつである「愛岐トンネル群」を訪ねてみた。最寄り駅の中央線・定光寺駅から川沿いを上流に向かって300mほど歩くとその入口が見えて来た。枕木を再利用した階段を登り受付で入場料として100円を納め、いよいよトンネル群へのスタートを切った。このトンネル群は国鉄中央西線の高蔵寺~多治見間の8kmにおける軌道敷と14ものトンネル群が複線電化の新線建設のため昭和41年に廃止となりそのまま放棄され、それからしばらくその存在すら人々に忘れ去られていた。しかしながら平成17年有志による探索で40年間薮の中に眠っていたトンネル群が発見され平成19年市民グループによる発掘調査及び整備が始まりその努力の結果、経済産業省による「近代化産業遺産」の認定を受けるまでになった。このグループが後のNPO法人「愛岐トンネル群保存再生委員会」となり年2回(春・秋)の一般公開の運営・管理を行っている。トンネル群全体では1号から14号のトンネルが存在していたが9号は昭和40年に撤去され残る13本中、公開されているのは3号から6号の4本のみである。公開区間は片道1.7km・約1時間の軌道敷を歩くコースとなっている。さてスタートしてみるといきなりトンネルの入り口に実物大の蒸気機関車が描かれた暖簾が目に入った。3号トンネルである。40年間の眠りから蘇ったその姿に接し何とも言えない感動を覚えた。その後線路跡を紅葉と共に楽しみながら次々と現れるトンネルを進んで行った。そしてトンネル内の壁に今も残る蒸気機関車の黒い煤を目の当たりにすると正にここをあの巨体の蒸気機関車が毎日通過していく姿を想像して何か胸に迫るものがあった。それと、忘れてはならないのはこの区間のトンネルの構造形式には特徴があり技術遺産としての価値も高いようだ。トンネル内については照明が施されている区間は短く殆どが暗闇で尚且バラストの軌道は決して平坦ではないので懐中電灯持参としっかりとした靴の着用は必須である。程なく6号トンネルを抜け出ると愛知県と岐阜県の県境に差し掛かりここが最終地点となる。そこでお会いしたガイドの方としばらくお話させていただいたが、とても詳しく親切にこのトンネル群の歴史や構造について教えていただき感激した。帰路は線路下の川沿いにある「玉野古道」を歩いてみた。ここは多治見から名古屋へ通じる明治時代の街道跡であるが、途中若干危険な場所があるため健脚者向けとされている。しかしこのルートは ここでしか見ることが出来ない箇所が2つあるので ぜひお薦めしたい場所でもある。笠石洞暗渠(かさいしぼらあんきょ)と呼ばれ登録文化財にも指定されているもので沢から流れ落ちてくる水による線路敷の破壊を防止するための水路で 当時の技術水準の高さを示す貴重な遺構である。レンガ造りの構造内部に入るとその光景は歴史を感じさせて圧巻である。もうひとつは 切石とレンガで造られた橋台が鑑賞できるポイントがありここは通常の散策路からは決して見えないためぜひお薦めしたい場所である。こうして散策は終了したが振り返って印象を述べると、とても良く整備・復元されており感銘を受けたが敢えて指摘させていただくとするなら散策経路途中で現れる土産物・飲食店・休憩所は果たして本当に必要なものなのか、せっかくの景観を損ねているような気がしてならなかった。しかしながらあくまでもこれまでの関係者の方々のこのトンネル群の復元・整備に対する並々ならぬ御尽力に対して敬意を表したいし、これからもこの施設が末永く保存されることを願ってやまない。帰り道紅葉に包まれたこのトンネル群を振り返って見ると、その昔蒸気機関車に引かれた客車の窓から当時の人々が同じ光景を見ていたのだと思うととても感慨深いものを覚えた。時が止まったかのような佇まいの「愛岐トンネル群」。それは多くのことを私達に静かに語りかけてくれているように思えてならなかった。

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